皆さん、こんにちは!ボーイスカウト隊です!
9月の夏期野営以来の投稿です。
先週11/1(日)、『第7回みなみ地区チャンピオンシップパトローリー』に参加してきました。
通称”CSP”と呼ばれるこの行事は、簡単にいえばボーイスカウト運動が大切にしている「班制度(Patrol system)」をベースにスカウト技能を競い、地区でナンバーワンの最優秀班を決める、という私達「みなみ地区」のボーイ部門の大会です。(パトロール(Patrol)=「班」という意味です)
このCSP、第一回から当初は当団の班が優勝すること多かったのですが、「川口地区」が戸田・蕨・鳩ケ谷と一緒になり「みなみ地区」に変わった第四回からは、戸田1団コブラ班が三連覇を達成していました。優勝班が強すぎるからなのか、Woodcraft(森林生活法)が薫らない集会だからなのか、競争をあまりよしとしない世代だからなのか、当団のスカウト内にCSPに盛り上がっているスカウトが少ないのが現実でした。
実際、三連覇している班がどれだけ強いかというと、CSPのフィナーレで行う競技『班旗立て』のタイムは2分を切っていました。これに対し当団ボーイ隊の今年の夏期野営の『班旗立て』で優勝した当団イーグル班のタイムは4分55秒でした。・・・・・これだけ見ても連敗してきたスカウトが盛り上がらないのは自然だったかもしれません。
~「捲土重来」~
しかし、スカウト達がそんな姿勢で臨む大会が楽しいはずがありません。またスカウト達の今後の人生にとってもそんな経験を積んでほしくないと思いました。どうせ参加するのであれば、チャンピオンシップなのですから優勝を目指さねば楽しくありません。そこで、9/27の合同班集会では「捲土重来」という言葉を教えて奮起させ、10/4のグリンバートレーニング(班長・次長への訓練です)、10/11の合同班集会では各班とも『班旗立て』を何度も練習し、各班ともタイムが2分を切る驚異の成長を見せ、かなり士気が上がった様子でした。
しかし、せっかく盛り上がったと見えた各班の士気でしたが、その後の班集会実施にはつながりませんでした。それで勝てるという甘い考えもあったかもしれませんし、部活で忙しいなど色々な事情があったかもしれません。が、何はともあれ、現実にこれが彼らのCSPへの姿勢なのでした…。
~本番~
そんな状況で迎えた本番当日でした。
会場は戸田市にある「彩湖・道満グリーンパーク」という巨大な自然公園。当日朝はぎりぎりまで参加予定の隊員を待ちましたが、残念ながら全員集合とはいかず、また9:30からの開会式直前に到着するという状況でした…
スカウト参加団は5個団(戸田1団、川口1団、川口16団、川口19団、川口21団)、参加班は12個班でした。
その他7個団(?)は残念ながら参加見合わせでしたが、川口15団はリーダーがポイントラリーのブースのみ出しておられました。
9:30 開会式
地区委員長、地区コミッショナー等のご挨拶の後、参加班の紹介となりました。
各班それぞれ本大会への意気込みを語りました。
タイガー班
イーグル班
ドラゴン班
そして、その後はまず「ポイントラリー」が始まりました。各班はめいめいに5個のブースを回ってスカウト技能を試され、採点されました。
◆川口15団のブース『火興し選手権「湯沸し」編』
このブースでは火おこしの技能が試されました。
与えられた木で素早く火をおこして湯を沸かし、湯の温度をチェックされたようです。
◆戸田1団のブース『緊急指令!援護物資を運べ』
このブースでは手旗信号を打ち、読み解く技能が試されました。
最近のボーイ部門では手旗信号が必須技能ではなくなったこともあり、苦戦する班が多かったようです。
当団のスカウト達はなかなか頑張ったようで驚きました。
◆川口16団のブース『@ネイチャー2015』
このブースでは、会場である道満の自然を探索し木の実を集めてその名前を問われるものでした。
◆川口21団のブース『サイクリングに連れてって』
このブースでは自転車のパンク修理の技能などが問われました。
◆私たち川口19団のブース『渡河作戦』
このブースでは、スカウトのおきての一つ「スカウトは親切である」ということで、対岸に渡りたい人のために
丸太とロープで乗り物を作って渡らせてあげるという結索技能を試すものでした。
またあいさつの快活さや、制服の着こなし・「気を付け」「休め」などの基本動作のスマートネスを見るもの
でした。
当団ボーイ隊のリーダーです。中央上のギルウェルスカーフをしている御仁は地区プログラム委員長として大会本部で奉仕をしたわれらが中野ビーバー副長です。
午前中のポイントラリーを終え、昼食を済ませると当団の各班はそれぞれ午後の『班旗立て』の自主練をやっていました。
班の数が多いため、『班旗立て』は、二グループに分けて行われました。当団の各班は午前中のポイントラリーで首位同士の戸田1団の各班と競う二グループになりました。
スカウトを奮起させるため、隊長は今年の夏期野営でやった”おーおーおおおーおおおーおおおー~略~”という「アフリカンシンフォニー」をここぞとやり、スカウトの士気を高めました。スカウト達は他団からの目を気にしてすごい恥ずかしがっていました(笑)
その後、一グループの戦いのあと、スカウト達がとても緊張していたので、私も「緊張を吐き出せ!」ということで、大声で「テキサス」をやりました(笑)
スカウト達も、円陣を組んで、ドラゴン班長のかけ声のもとエールをかけていました。
こういうのはとてもよいですね!やはりおじさんが言うより、兄貴分に言われる方がみなまとまるのですね(汗)
そして、いよいよ『班旗立て』競技 二グループの時間となりました。
各班スカウトは、資材(丸太、ロープ、ペグ、ハンマー)の前に整列し、スタートの合図で競技開始です。
開始のホイッスルと共に、各スカウトは練習を積んだそれぞれの持ち場の役目に走ります。
三本の丸太と班旗を「挟みしばり」でつなぎ、丸太に「巻き結び」で固定したロープを三本張ってペグ三本に「トートラインヒッチ」でひっかけます。ゆっくりやれば大したことのない動作なのですが、この競技ではそれらの動作を同時平行でやらねば勝つことができないのです。しかもどんなに早くやっても、倒れそうに曲がっていたり、結索法(ロープワーク)が間違っていれば減点されてしまうのです。
班旗立ての結果は以下の通りでした(戸田1団のコンドル班とオオカミ班は省略します)。
あまりの速さに、見学していた他団のリーダーたちも「速すぎる!」と感心してくれていました。
≪班旗立て 一回戦目≫
戸田 1団コブラ班 : 1分40秒
川口19団イーグル班: 1分42秒
川口19団タイガー班 : 2分3秒
川口19団ドラゴン班 : 2分3秒
川口19団イーグル班: 1分42秒
川口19団タイガー班 : 2分3秒
川口19団ドラゴン班 : 2分3秒
そして、午前中のポイントラリーと午後の班旗立ての総合得点は、以下の通りとなりました。
ここで驚くべき事態が発生してしまいました。なんと戸田1団コブラ班と当団のイーグル班が同点で並んでしまったのです。
≪総合得点≫
1位: 戸田1団コブラ班(57点)、川口19団イーグル班(57点)
2位:
3位: 戸田1団オオカミ班(52点)
4位: 戸田1団コンドル班(51点)、川口19団タイガー班(51点)
5位:
6位: 川口19団ドラゴン班(49点)
7位: 川口16団カモメ班(45点)
8位: 川口21団コブラ班(44点)
9位: 川口 1団ホワイトベアー班(38点)
10位: 川口21団トナカイ班(36点)
11位: 川口21団バッファロー班(34点)
12位: 川口21団イーグル班(29点)
前代未聞の1位が並ぶという事態になり、大会本部ではだいぶ議論になったようですが、「同点優勝ではなくて、シロクロつけよう」ということになり、みなが見守る中で戸田1団コブラ班と当団イーグル班の決勝戦が行われました。
イーグル班のスカウト達は「もう同点優勝でいいよ~疲れた」と、心身共にだいぶ疲弊していましたが、実はこの事態をひそかに予想していた隊長が少し早めにこの事態に備えるようイーグル班のスカウト達にゲキを飛ばしていたので、イーグル班も何とかメンタルを整えて決勝戦に臨むことができました。
戦いの前の戸田1団コブラ班のかけ声は「トントントントン、日野の二トン!」でした。当団イーグル班長のかけ声は、「那須で起こした奇跡を見せてやろうぜ!」でした。
結果、イーグル班は戸田1団コブラ班よりも早く班旗を立て、勝ったかと思われたのですが、その後に巻き結びの一つが外れてしまい、これを直す間にコブラ班に抜かれてしまいました。イーグル班はこのミスで気が抜けてしまったようでしたが、頑張って最後までやっていました。このため、決勝戦のタイムは以下となりました。驚異の1分30秒台が出ました。当団夏期野営での優勝が四分台だったことを考えると、何ともレベルの高い話です。
≪班旗立て 決勝戦≫
戸田 1団コブラ班 : 1分33秒
川口19団イーグル班: 2分7秒
川口19団イーグル班: 2分7秒
試合が終わったあと、イーグル班のスカウト達は近くで見学していた私のところに集まってきました。
みなじっと私を見、私に何かを言ってほしい、そんな真剣な面持でした。
私は、こんな大事な時のひとことは隊長に言ってもらわなきゃと探したのですが、今この瞬間に彼らに言葉をかけてあげるべき状況でした。
「『よくやった』と言ってほしいやつもいれば、『よくやったなんて言わないでほしい』というやつもいるだろう。でも俺はお前らはよくやったと思うぞ!」と私は述べ、涙ぐんでしまいました。イーグル班のスカウト達は悔しさなのか、燃え尽きたことなのか、みな静かでした。大会前に見たことがないような顔をしていました。
--
閉会式。
戸田1団コブラ班が最優秀班として表彰され、勝利の証として金のペグを授与されました。
私は大会中、各団のスカウト達をよく見るようにしましたが、確かにこの班の班長はとてもしっかりしていて面倒見がよく、なるほどなと思いました。まさに「敵ながらあっぱれ」でした!
最優秀班に与えられる「金のペグ」。
戸田1団コブラ班は、このペグを通算四本ゲットしましたので、「テントの親綱を張れるな!(笑)」と地区委員長に言われていました(親綱=メインロープは四本ですので)。
そして、準優勝となった当団イーグル班、三位となった戸田1団オオカミ班も表彰を受けました。
同点四位となった当団タイガー班、戸田1団コンドル班も表彰されました。
(当団ドラゴン班は六位でした)
最後にみなで記念写真をパチリ!写真左側に当団ボーイ隊が固まっています。
閉会式の後、まず隊長のお話があり、その後に当団ボーイ隊だけでセレモニーを行いました。
ターゲットバッジ授与。
ターゲットバッジ授与。
そして、川口19団ボーイ隊らしく、大きな声で「おきてランニング」で会場を後にした私達は、まだバス・電車を乗り継いで川口に帰ってきました。駅前の解散セレモニーでは、今回のことに関して記憶が新しい内に、よかった点(評価)と悪かった点(反省)をまとめるように言いました。
今回のCSPは、このように実に様々なドラマがあったものでした。大会でのスカウト達の頑張り、特にイーグル班の健闘は大変ほめてあげたいものです。三連覇を誇る強豪班に同点決勝を強いるほど食い込んだのです。
しかし、『班旗立て』の競技でささいな点で負けてしまいました。そのミスをした一スカウトを責めることは決してあってはなりません。なぜなら、今回のCSPは準備段階でのスカウト達の考え方の甘さがあり、ハッキリ言ってしまえば「練習不足」だったからです。負けるべくして負けたともいえるからです。
しかし、毎年負け続け、勝とうという考え方も薄れていた中、今回のCSPで彼らは優勝を目指して奮闘し負けました。それは頑張らずして負けたのとは全く価値が違います。スカウト達は当に悔しかったと思いますが、スカウト達の中に何か未来につながるものが残った集会であったと思います。
私自身としては、今回初CSPでありながら、僭越ながら上級班長的な役割をやらせていただき、全体集合をかけたり、基本動作をスカウトに指示・指導する立場として「スマートネス」を持って帰ってもらいたいと頑張りました。そのため、他団のスカウト達にもだいぶ情が移ってしまいました。やはりスカウトはかわいいものです。CSPに限らず、「Woodcraft(森林生活法)」が薫る素敵な活動についても、いつかぜひ他団スカウトにも伝えていきたいなと思った次第です。
以上
(記:ボーイ隊副長 加藤)